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RUN

昨年、iPhoneを買ってからというもの、やたらと外を走るようになった。

というのも、このアプリのせい。

RunKeeper(Zooではない)。
無料
カテゴリ: ヘルスケア/フィットネス
サイズ : 9.1 MB
条件: iPhone、iPod touch および iPad 互換 iOS 3.0 以降が必要

GPSで走った距離、時間、ルートが記録される。

今ではそう珍しくないアプリだが、他のものよりシンプル。webサイトにログが記録されるのと、facebookとtwitterにポストできるもいい。
iPhoneで一番使っているソフトかも知れない……。
ちなみに去年からの記録(http://runkeeper.com/user/uminekozawa)を見ると、最初は3キロ程度走るくらいだったのが、今年に入ってから一回に走る距離が10㎞とかになっている。

ランニングは良い。何が良いかというと、買ったのはいいけれどぜんぜん聞いていないアーティストのアルバムを聞く時間になる。あと、ポッドキャストとかめっちゃ量が多いヤツを聞く時間になる(例えばこれとかオススメ)。

朗読で親しむ 日本名作文学全集 第2巻
無料
カテゴリ: 文学
言語: 日本語

文筆業者が「走る」といえば、真っ先に思い出すのは村上春樹。

「語るときに語ること」という言葉の入れ子感がマラソンするときの両足の反復運動のよう。
軽く読めるエッセイなので、ジョガーは読むといいかもしれない。しかしこの、エッセイと小説の差異のなさはどういうこと? 村上春樹という人は普段どういう話し方をするんだろう……というのは、ワタクシ、つねづね文体というのは実はけっこうフィジカルなものではないかと思っているからです。文章は観念的で論理的だといいますが、それを紡ぎ出すのはキーボードを叩く指だったり、ペンを持つ手だったり、どうしたって身体です。BMIなんかで脳波執筆が実現したとしてもそれを出すのはやっぱり脳なわけで、どこまでいっても物質的な部分を排除することはできない。かといってすべてを物質に還元することもできない。物質的なものとそうでないもので、両方から挟み撃ちするように心とか意識を考えていると、無理数の追いつめ方を思い出して無限ループ。

で、まあそんなこんなでだらだらと走っていたわけだが。実は、この本の影響もちょっとあるかもしれない。

BORN TO RUN 走るために生まれた~ウルトラランナーVS人類最強の”走る民族”

水道橋博士が去年、ブログで猛プッシュしてネットで話題になったので記憶に残ってる人も多いだろう。
紹介文を読むだけでもワクワクしてくる。

この冒険は、たったひとつの疑問からはじまった。「どうして私の足は走ると痛むのか?」その答えを探すなかでクリストファー・マクドゥーガルは世界でもっとも偉大な長距離ランナー、タラウマラ族に行きつく。
その過程でわかったこと―わたしたちがランニングについて知っていることはどれもすべてまちがいだ―メキシコの秘境を彷徨う謎の白馬、現代社会と隔絶して暮らす“走る民族”、素足で峡谷を走り抜けるベアフット・ランナー、数時間走り続けて獲物を狩る現代のランニングマン、過酷な地形を24時間走り続けるウルトラランナーたち、そして、世界が見逃した史上最高のウルトラレース…全米20万人の走りを変えた、ニューヨークタイムズ・ベストセラー。

痛ましい真実その1 最高のシューズは最悪である最高級のシューズを履くランナーは安価なシューズのランナーよりもけがをする確率が123%も大きい。
痛ましい真実その2 足はこき使われるのが好き履き古されたシューズのほうが、新品よりも足への衝撃が少ない。
最後の痛ましい真実 アラン、ウェッブでさえ、「人間は靴無しで走れるようにできている」と言う「シューズを履くのは、足にギプスをはめるようなものだ」

「常識的だとされていた○○は間違いだった!」というのはセンセーショナルでアヤシゲなのだが、やっぱりワクワクするよなー。
で、読んでみたらいきなし「タラウマラ」という単語が出てきて驚いた。
タラウマラといえばアントナン・アルトーがいろいろ書いてるので有名なフシギ民族ではないか。なぜ今……。

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=FnwIKZhrdt4[/youtube]

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=tkST74rqyWA[/youtube]

 

タラウマラについての文章はこの本で読める。

 


アルトー後期集成 1

最初のページを引用してみよう。

すでに述べたように、数日前〈万物の導師〉が、トゥトゥグリの道を私に開いてくれたのであるが、シグリの道を私に開いてくれたのはトゥトゥグリの司祭たちなのである。〈万物の導師〉とは、人間の間の概念的関係をつかさどる人であり、その関係とは、たとえば友情、憐れみ、供物、貞淑、信心、寛容、仕事などである。彼の力は、ここヨーロッパでわれわれが形而上あるいは神学を通じて理解しているものを前にしては効力を失う。しかし彼〈万物の導師〉は、内的意識の領域においてはヨーロッパのどんな政治的指導者よりもずっと遠くまで行くのだ。

タラウマラ族におけるペヨトルの儀式

皆様、おわかりでしょうか。
ワタクシにはさっぱりわかりません。
トゥトゥグリについて書かれた文章はこうです。

太陽の外的栄光にささげられるトゥトゥグリは暗黒の儀式である。
暗黒の夜の、そして太陽の永遠の死の儀式である。
否、太陽はもはや回帰しないであろう
そしてこの天体を横切るはずの円環の六つの十字架は、
実はその軌道を遮断するためにある。

トゥトゥグリ

(注:TYPE MO●Nのゲーム内テキストではありません)とにかくただごとではない荘厳な、宗教的ななにかはビンビン伝わってくるドライヴ感あふれる文章です。
アルトーは1935年にメキシコのタラウマラ族の元を訪れた。彼はもともと統合失調気味で、それゆえにいろいろな原始的な、ある種の霊性のようなものに近づけたようだが、そこにはやはりキリスト教への複雑な闘争が色濃く影を落としている。ゆえに体験(ある種のトリップ)もまたそれへのカウンターに満ちあふれているわけだが。実際のところタラウマラとキリスト教との関係ってどうなのよ? と言われるとよくわからない。アルトーの思い込みが激しすぎるのかもしれないし、そうじゃないのかも知れない(死ぬまでに一度現地に行ってみたいものです)。ともかく、『Born to RUN』を読む限り、タラウマラの生活様式はアルトーの頃から70年経ってもあまり変わっていないようだった(400年変わってないとかいう話もある)ちなみにタラウマラとララムリという名前が出てきて別の民族なのかと混乱する人もいるようだが、タラウマラはtara(足の裏)、uma(走る)を意味し、17世紀にイエズス会によってつけられた名称。ララムリはそれ以前の彼らが自分でつけた名称で、raramuri(人間)という意味。

『Born to RUN』、最初は読みづらかったけど後半非常にスリリング。
特に人間は走るために進化した! という部分は『天才と分裂症の進化論』を思い出させた。

天才と分裂病の進化論

歴史のある部分で分裂症の果たした役割についてと、それが人間の進化を牽引したという仮説……このへんはジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』みたいに証明できないけれど仮説として魅力的。さきほど、アルトーが「それゆえにある種の霊性に近づけた」と書いたが、これを読んでもらえれば「それ」の意味がわかってもらえるかと。さらに、


神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡

とあわせて読むとますます人類の神秘に思いを馳せたくなる。
『神々の沈黙』で提示されている仮説は大胆で、「人は古来、神の声が聞こえていたんだよ!」というもの。これはつまり、ぶっちゃけみんな分裂症気味だったかもしれないってことです。ギリシャの時代にはかなりその能力が衰退していたけど、それでもまだみんなには内言(言葉で考えること)をしていなかったのでかなり能力が残っていたと。それが原始的な脳のありかた「二分心」というものに関わってくる。このへんは松岡正剛が紹介しているので、そっちにまかせる(オレが読むような本など松岡さんがだいたい紹介しているんだが)。
この本の翻訳者、柴田裕之(しばた やすし)さんの翻訳する本はやたら面白いものばっかりで、特に、

ユーザーイリュージョン―意識という幻想

が良い。意識などない! という話ですが、そういうのは東洋ではずっと前から言われていることなので、われわれにはわりと受け入れやすいだろう。
ちなみに意識へのアプローチとして仏教的なのは、この前野博士の一連の本で語られる「受動意識仮説」。


錯覚する脳―「おいしい」も「痛い」も幻想だった

とくにこの本はアイソレーションタンクについて興味を持ち、ゼミの学生をつれて実際に体験された話など、あくまで体験しつつ理性的に考える柔軟性が光ります。

そうそう、『Born to RUN』はツイッターのアカウントもあって、こちらも充実しているのですが、

http://twitter.com/BornToRun_jp

このアカウントを見ている人のなかで、やはり天才と分裂症の進化論を思い出した人もいたようです。

ここで紹介されていた本『脳を鍛えるには運動しかない!』も読みました。

[blackbirdpie url=”http://twitter.com/#!/matchan_jp/status/62415965828288512″]

[blackbirdpie url=”http://twitter.com/#!/BornToRun_jp/status/50064814189457408″]


脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方

冒頭で書いたように、ワタクシ、文体と身体がなんとなく繋がっているような気がしており、つまり創作のために走っているわけですが、確かにメンタル面は安定します。
でもメンタル面含めて、パラメーター上昇度ならボクシングのほうが明らかに上なので(マジ過酷)、まあ……生活リズムを整えるという感じで、そんなに劇的には変わった感じはしない(ヘミングウェイとかトム・ジョーンズになりたいならボクシング一択です)。
あとは瞑想もけっこういいです(最近、寝る前に激しく幻覚めいたイメージストリームが出まくるので、まず瞑想で全部リセットしてからでないと強烈な悪夢で死にそうになります)。
考えてみるとただ無心で走ることは、ある意味瞑想的な行為でもあるので似ているっちゃあ似ているのかも。
運動が鬱にいいというのは前から実感があったので、知り合いの精神科医に聞くと、運動療法を取り入れた場合の鬱病の再発率は30%、取り入れなかった場合の70%に比べて高い効果を示しているという(どういう内容の運動療法なのかは聞いてない。今度会ったときに詳しく聞いてみたい)。

あと、今ふと思い出したのだが、身体を使うことに関してはひとつ、こんなことが。
最近やっていないけれど昔、趣味でファイヤーダンスやってたんですが、これの練習方法ってのは紐の付いたボールを左右片方ずつふりまわして練習して最後に半拍ずらして両方を合わせるというものなのです(わかりづらいので動画を見てください)。

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=ns-uIFayMU4[/youtube]
↑小さいのがワタクシデス

これが初めてやる技の場合、ぜんぜんできない。
でも出来たときに脳の中でなにかの回路が繋がった! という感動があって、それが算数の問題とかを解いたときにとっても似ていて、身体と観念が悪魔合体した! コンゴトモヨロシク! みたいな感じがスゲエ、マジスゲかった。身体と精神のつながりを感じたという意味ではこれほど劇的なことはなかった(ちなみに、ワタクシ、運動神経鈍いです、ジャグリング的な作業は運動神経とはあまり関係ない気がする。野球とか集団作業は協調性がないので相変わらずできません。誰に何をすればいいのかさっぱり……)。

というわけで『Born to RUN』、去年読み終わっていて、もっと早く紹介したい本だったのだけれども忘れているうちにこんな時期になってしもた。

たまたま数日前にNHKのタイムスクープハンターで「風になれ!マラソン侍」というのをやっていてふと思い出したのでだらだら書いてみた。
あ、そうそう、ここで紹介されているナンバ走り、練習してた……。

[blackbirdpie url=”http://twitter.com/#!/nhk_timescoop/status/86405985345875970″]


ナンバ走り (光文社新書)

ナンバというのは両手両足が同時に出る走り方で、昔のひとはこういうふうに走っていたらしい。戊辰戦争あたりまではわりとメジャーだったそうな。西洋式の走り方が入ってくるまえでは、いろんな走り方があって、例えば古い絵で両手をバンザイして走っている人が書かれたりするけど、あれはまんまほんとにああいう風に走っていた……とかいう話を聞いたような気がします(うろおぼえ)。
通っていたジムにもナンバの身体の使い方する人がいて、すげえ不思議な動きでした。
その方によれば、ボクシングとナンバは相性が良いらしく、原理的には、農耕民族の動き(鍬を振り下ろすのと足が同時)→剣道の動き(踏み込みと剣が同時)→ボクシングの動き(踏み込みとパンチが同時)、ということです。
なるほど! ということで、一時期に甲野先生の本読んで一本高下駄はいたりしてナンバの練習したのですが、結果、自動車に跳ねられました。痛かったです。(高下駄のサイト→ http://www.gendaiya.co.jp/s_sgtakagetatengu.htm)。

後に、ワタクシ、実際に甲野先生のワークショップに参加して技をかけてもらったりしたこともあるのですが、どうにもこうにもさっぱり原理もなにもわからず。小学校のころにいじめられてキン肉マンの技をかけられていたこととか思い出してブルーになりました。


DVD60分でよくわかる! 甲野善紀の身体革命(DVD付) 学研ムック

そんなわけで、一体なんの話をしていたのかさっぱりわからないけれど、とにかくたぶんランニングについての話でした(支離滅裂でも誰にも文句言われないブログって素晴らしい)。

・リンク

裸足ランニングについては

こないだユニクロの1000円くらいのつっかけで15キロ走っても大丈夫だったので、ベアフットにもチャレンジしたいなあ。
身体についてはこれもおもろかったです。

あとNHKといえば、BShi ハイビジョン特集で今年の3月に「人は走るために生まれた メキシコ山岳民族・脅威の持久力」という番組も放送されました(見逃した)。

気づいたら今日の話題の半分以上はすでにBorn to RUNのアカウントで紹介されていたものという結果……スゲエな。

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Posted in その他, 日常, 雑記.

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