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人生を変えたアルバム

NEVERMIND TRIBUTE

今日4月5日は、あいつの命日だ。あいつはコバーンとかコベインとか書かれることが多いが、そんなロキノン厨的な意見はどうだっていい(同様にマスシスでもマスキスでも、シニードとかシネードとかもどうだっていい)なぜならオレはロックだからだ。数学的に考えればロックはオレ。そう、アティテュード的にロックがオレということでもある。OK。今日は音楽ライターの富田氏のメルマガに過去うpした文章を転載してみるぜ。雑多な仕事が着実にアーカイブスされつつあるウェブサイトという名の俺の墓標にGmコードをかき鳴らせ!フォーエバーピースフルワールド!ネヴァーマインドアサシン!

 


http://www.voltagenation.com/archives/622

▼ガストノッチ!(絶好調:ゼビ語)。皆様、お初にお目にかかります。パトス・ハメ愛読者の海猫沢めろんです。いつもこのメルマガを楽しみに拝見しておりましたので、こうして執筆できること、非常に嬉しく思っております。私、普段はいろんなところで小説や随筆を書いております。さっそく針の穴ほどのストライクゾーンに300㎞でデッドボールの弾幕を張りに行きたいと思います。気合いで避けてください。

▼さて人生を変えた音楽。まずは、宇宙でもっとも愚かな二足歩行生物「田舎の男子中学生」の時期からピックアップいたしましょう。

私はアニメが大好きでしたので、その延長線上で「イメージアルバム」なるものを買いあさりました。読者には無粋かも知れませんが、一応説明しておきますと、イメージアルバムとは、声優と、脚本と、楽曲を使い、低予算で作られたラジオドラマ+音楽アルバムというところでしょうか。アニメ制作より安いので、マンガや小説がメインです。その中でも、すばらしいクオリティだったのが、これ。

未来放浪ガルディーン 大歌劇

未来放浪ガルディーン 大歌劇: イメージ・アルバム

火浦功×ゆうきまさみ×出渕裕の『未来放浪ガルディーン』。90年代においては秋山瑞人の『EGコンバット』という傑作があるものの、80年代のロボットものオリジナル小説というのは、ほぼ成功しませんでした。しかし、これだけは別です。『究極超人あ〜る』のパロディ、楽屋オチ、無駄に熱い楽曲、今聞くと微妙な気分になること請け合いですが、それも含めて人生を踏み外すことになったアルバムであることは、間違いないでしょう。ラストの川村万梨阿の名曲<レッド>が熱い。

あとは、イメージアルバムではありませんが、<ドリームハンター麗夢SPECIAL>(押井映画でおなじみ川井憲次氏も作曲で参加)なども、テープが摩擦で燃え上がって練炭になるほど聞きました。

▼こうしてやがて思春期がおとずれ、若者は悩みます。毎日アニメを見つつ「どうしてぼくは生きているのだろう?」「どうして人を愛するのだろう?」「なぜ生まれてきたの?」そんな深い哲学的悩みを抱えながら、絶望的な夜のなかで人は毎日オナニーをします。「ペンギンクラブ」とともに安らかに永遠に眠ってください尾崎。

LAST TEENAGE APPEARANCE

LAST TEENAGE APPEARANCE~THE MYTH OF YUTAKA OZAKI~
このライブ盤は普段は聞くことのできない尾崎の肉声も多数はいっております。ライブ中に語りかけてくる尾崎の迫真のメッセージ。尾崎のシャウト。とくに<十七歳の地図>直前の語りは最高です。
「そいつのために……俺は命を張るッ!セブンティーンズマアアッープ!」ある意味、水木一郎のマジンガァァーゼーッ!に匹敵する魂のシャウト攻撃力三倍。

この後、尾崎が影響を受けたというジャクソン・ブラウンなどを聞いてみたりしますが「?」という疑問符しか残りませんでした。

後年、尾崎に弟のように可愛がられていたという「北の国から」の吉岡秀隆さんが<ラストソング>という名曲を歌い、女尾崎と言われた橘いずみ(須藤晃プロデュース)の<失格>がヒットしますが、いまいち尾崎スピリットを受け継いでいるという感じがしなかったところで、マクロス7の熱気バサラに尾崎のソウルを見ることになるとは、このときは思いも寄りませんでした。
FIRE BOMBERのには尾崎マインドが横溢しています。ピンク髪レオタードのミレーヌに大興奮。

▼思春期と同時に中二病も発症します。本当はエロゲーをやりたいだけなのに、難解な横文字で親をたぶらかしPCをゲットするのです。

「お父さん、これからはITの時代だからソリューションのためにキャプテンシステムを導入しなくちゃゾルゲル運動2.0しながらアセンブラでクラウドコンピューティングなんだ」「お母さん、冷蔵庫をLANケーブルでダイヤルアップ回線をつなげば野菜室とローカルでパケット通信だから二次方程式の法則で抵抗がゼロになるよ」なにひとつ意味がわかりません。

しかし圧倒的な得体の知れない情熱に負けて、親もPCを買い与えてしまいます。これは戦争や重力に魂を引かれるのと同じように、人類の背負った負の宿命と言えるでしょう。

エロゲーに精気を吸い取られスペースバンパイアと化しためろん先生を救ったのは、東芝の激安ドンシャリスピーカーから流れ出す、FM音源に彩られた幻想の旋律でした。

Ys I&II Chronicles

イースⅠⅡ サントラ

古代祐三のギターサウンドが神がかっています。思い出すだけで、ドットの荒いリリアの微笑みが浮かび胸がしめつけられます。ミスリリアコンテスト、ミス藤崎詩織コンテスト。彼女たちは今、幸せなのでしょうか。それはもう我々には知ることができないのです。祈りましょう。

さて、ファルコムの古代、コナミ矩形波倶楽部、タイトーにZUNTATA、カプコンにアルフ ライラ ワ ライラ、セガにSST BAND、ゲームミュージックも各メーカーごとに個性があります(ちなみにキリンジも元ナムコのサウンドコンポーザーです)。

ゲームミュージックの奥深い世界にのめりこみ、さらに「超音戦士ボーグマン」の主題歌により、脳内でジャパメタが密かに流行。アースシェイカーの代表曲のサウンドとともに、ギターへのあこがれが膨らみます。

人を憎む弱さを見た。もっと鮮やかに!ハッ……このサウンド……どうして涙が?そうだ!ギターだ!燃えるような赤い薔薇とともに思い出した!僕は前世アトランティスでギターをひいていたんだ!もう、歯止めが効きません。

▼そして人類で最も罪深い生き物「田舎の最低偏差値男子高校生」の時期が始まります。

バンドブームまっただ中。まわりがBOOWYや氷室、ユニコーンやジュンスカにはまっている中、なぜかここでヴィジュアル系バンドの邪眼に魅入られてしまいます。哀しき高二病。紅に染まっためろん先生の背中を慰める奴はもういません。というか最初からいません。

Xも好きでしたが、渇いた心は、もっとダークでナルシスティックで淫靡な、音楽という名の背徳の快楽を求めます。そう、すべて消え失せろ。月夜に、甘く切なく。愛は終わらない。夜風に乗せたこのメロディ。

BASILISK

D’ERLANGER * BASILISK

Xの根底にはクラシックの臭いがしますが、D’ERLANGERはポップでとても聞きやすいサウンドです。とくには今聞いても名曲。バグパイプで奏でたようなフォークロア風音色のギターが面白い。

いわゆる西のフリーウィル、東のエクスタシーという当時の二大ヴィジュアル系レーベルのどちらにも所属していなかったのがD’ERLANGER(当時、密教マニアだった私は、最澄(=ダイナマイトトミー)の興した天台宗(=フリーウィル)、空海(=YOSHIKI)の興した真言宗(=エクスタシー)として捉えていました)

ギターのCIPHER=瀧川一郎さん、に憧れますが、わたしの脳内はこうです……CIPHER=少女漫画の「CIPHER」とのつながりがあるに違いない!=こいつらはけっこうマンガが好きにちがいない!=前世の仲間だ!……無根拠すぎて、ほとんどサイコパスです。

そしてギターをコピりはじめます。Xはツインギターなので、コピーするのがちょっと面倒だったのです。なぜか同時にKATZEの(コードチェンジが比較的簡単で美しい)なんかも練習しています。

そうしているうちにやっぱりXも押さえなくてはいけないのではないかと不安になってきます。そうなるとメタルも押さえなくてはならない……という、微妙にズレた影響でイングヴェイの<トリロジースーツop3>をギターでコピーし始めます。デミニッシュやリディアンモード、脳内はクソミソモードです。

楽典を読んで楽譜を書いたりしても一小節72連符とかで真っ黒です。もう自分でも意味がわかりません。

さらにオカルト好きという余計な属性から、アレイスタ・クロウリー→ジミー・ペイジ、オジー・オズボーン……メタル人脈にたどり着きます。カオス。

毎日血がでるほどギターを引いていたのが、今ではいい想い出です。早弾きのために血の滲むようなスケール練習をしていたのに、最初に弾けるようになったのはBOOWYのNOニューヨークでした。

▼高校卒業後。頭が悪すぎて就職も進学もできなかった私は、フリーターになって毎日現場作業をこなしつつ、ホストや危険な仕事も請け負い、日本のマンチェスターとも言うべきH市で、グランジの波をもろにかぶります。ここでもニルヴァーナ……ではなく、ことごとくズレたものに魅かれます。

Where You Been

ホエア・ユー・ビーン – Where You Been

マンチェとぜんぜん関係ないアメリカです。すいません。

一曲目ののイントロが流れた瞬間、永遠のギターヒーローが誕生しました。そう、カート・コバーンに「ドラムやんねー?」と誘われて「え、だるいからやだ」と断ったJマスシス率いるダイナソーJrです。徹底的に歌にやる気がありません。

カスタムされたJAZZ MASTERのチョーキングが切り裂く、ビッグマフで歪みきったノイズ嵐。絶対に運動神経がいい人間の奏でる音楽ではありません(ブートレグのライヴ盤を聞くとリズムがぐちゃぐちゃ)。完全に人生に絶望していた私は、その中で死ぬほど下手くそな歌をだらだらと歌うJのぐだぐだなスタンスに共鳴してしまいます。

ちなみにアルバム「You’re Living All Over Me」の一曲目を聞いた瞬間も衝撃を受けました。ビッグマフ&ワウギターで、ひたすらテキトウに2コードをかきならすだけで、こんなにもかっこいいのか!

さらに知る人ぞ知るマイク・ワットの名盤「ball-hog or tugboat?」(ソニックユースも参加)の一曲目、Jがあの、ファンカデリックの名曲エディ・ヘーゼルの咽び泣くギターをカヴァー。無気力と絶望のつまった空間で、窒息しそうになりながら気怠げに吸い込む怒りと哀しみ――その果てに吹き出す血飛沫と流れる涙のような爆音ギター……なぜか私もいきなりロキノン口調です。マジでバンドやってギタリストになろうと思ったのは、これが最初で最後でした。

▼この後、しばらくグランジの流れでブリットポップ(マンサン、マニックス)。シカゴ系のアーティスト(シーアンドケイク、ジムオルーク)日本のオルタナ(グレイプバイン、ブラッド・サーズデイ・ブッチャーズ、コールター・オブ・ザ・ディーパーズ)なんかを衝撃的に聞きますが、生活は最低です。

上京後に極貧生活をなんとかするため、小説を書く……のではなくて、宅録で自分のアルバムを作って売ることを思いつき、なぜかソロプロジェクトを始めました。30近くなって無職なのに突然ひとりでアルバムを作りはじめました。偉人伝にはいつもこういう唐突な展開があるものです。

keny

ケニー・ザ・スケボーエンジェル「第二次成長期ハァハァ」メジャー盤とインディー盤

▲15曲入りアルバムmp3音源 → 【20MB Download】

人生を変えたアルバムというか、人生を変えようとして失敗したアルバムです。名前がギリギリアウトです。

MTRで作った音源をオーディオインターフェースでwavファイルにしてプレクスターのCDRで焼いただけという完全に人をナメた代物です。ミックスダウンという概念がありません。15曲入りステッカー付き500円。ジャケットは友達の同人美少女絵描きにお願いしました。青髪の美少女がシーツにくるまって全裸で微笑みます。

時代はゼロ年代初頭。50枚も売れません。演奏は中学生レベル。音源も中学高校時代のものです。中野のタコシェに置いても売れません。突然グランジかと思えばぐだぐだのポップス曲が入っていたり、ヴィジュアルっぽい歌を歌い始めたりと、ハルヒの学園祭シーンを凌駕する感動です。泣きたい。マジで。

と、ここまで書いていてめちゃくちゃ忘れていることが、まだまだあることに気づきましたが、このあとも続々あらわれる新たなるアーティストのことを語るには、どうも紙幅が尽きたようですというか紙幅なんか無限なのですが、他人のメルマガを乗っ取りそうな勢いで書きすぎているという気がするので終了します。

すいません紹介するアルバム三、四枚でという依頼だったのに気づいたら10枚以上になっていましたが、たぶん三枚が早く動いているため、分身して10枚以上に見えているんだと思います。

殺してください。

初出:2009年 冨田明宏 責任編集メールマガジン『パトス・ハメ』にて寄稿した原稿を転載。

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