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ニコニコ電子書籍化

 

本は滅びるのか? それとも生き残るのか?
ウンベルト・エーコは『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』のなかで、スプーンや車輪を再発明する意味なんてない。と言っています。確かに、本はハードとソフトが一体化している完成されたひとつのデバイスです……しかし……車輪やスプーンが、それ自体にしか意味がないのに対して、本というのは中身の情報のほうが重要です。さらに、本は中身によって姿を変えるものでもあります(辞書と絵本の違いを見れば明白です)。たとえば、この先、水素電池と電子ペーパーが実用化されたならばそれで文庫本を作り、随時、中身だけをダウンロードすることも可能でしょう。iPodにあたるようなデバイスが登場すればすぐに状況は変わってしまうのです。
とはいえ、それに乗っかって「本はもう終わりだ!」……などと声高に叫ぶプロパガンダは眉にツバして聞きましょう。ふつうに考えて、何事もそう簡単には滅びはしないのです。が、楽観視もできません。米国のアマゾンではすでに実体の本の売り上げを電子書籍が上回っているというデータが出ているようです(ちなみに一番のユーザーは50代以上だそうです)。理想的なのはなにかを仮想敵にすることなく、未来を見つめることなのです。というか、道具なんて適材適所だろ?(……と、いうようなことは、まあ当然、ぼくの十万倍頭の良いエーコ先生のことなので、すでに前述の書物のなかで言われているんだけど) 。

まあ、難しいことはおいといて、ニコニコが電子書籍として出ることになりました。とりあえず先行発売は、

SONYreaderの方はReaderStore
PC、スマホ、タブレット用は、大日本のhon-to.jp/ 

この二社。本で買うより少し安いです(1300円くらい?)。

ぼく自身の優先順位のなかでかなり高位にあるのが「やったことないことは、とりあえずやる」なので、新しい試みには積極的に参加していきたいと思います。

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ニコニコ最終回!

▼すばる連載の
「はたらく」ということをテーマに「すばる」で、ぼちぼちとやってきた連作短編「ニコニコ時給800円」。
やっと最終話が書き終わったー!!
二〇〇九年の六月号からはじめたので、ほぼ丸二年かかってしまった……。

二年前はロスジェネとか派遣問題が活発に議論されていたように思うんだけど、今はすこし雰囲気が変わったような気がするなあ。当時は状況を変えるために戦う気運が高まっていたのだけれど、今はもう抵抗するより、この状況でいかに生き抜くかという問題になってきている。
他人にとっては過去でも、いつだってそこで戦ってる人がいるので、どんな問題でも過去のことにしちゃいけないんだけれど(以前、関西に帰ったときに神戸新聞を見たら、一〇年前の明石の花火大会圧死事件の続報が載ってて……)、派遣問題の象徴であった「加藤の乱」の加藤の処遇に決着がついた今、それもおそらく過去のことになっていくんだろう。災害の報道は重要だけれど、その裏でかき消されてしまうものがあるのかもしれない。
歴史というのはこうして、強い事実と物語で上書きされていくのだろう。

連載中に取材対象であったぼくの友人が亡くなったり、秋葉原の事件の被害者に近い身内がいたり、そういうこともあってとても思い入れがある作品です。
7月には単行本として発売される予定ですので、少々お待ちを。

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