「随筆」タグアーカイブ

神様検定

STUDIOVOICEに初めて書いた原稿で、テーマが「○○検定」。
いつの号だったか覚えていない。
この随筆に出てくる老人はIさんと言って、その後、『零式』のあとがきにも登場する非常にイイ味の老人。シンクロニシティに満ちた人で、日常のいたるところで私と遭遇していた。個展を開いたりクラブイベントを企画したり、家に遊びに行こうとしたら「死体があるからだめだ」とか言われたり、よくふたりでお茶を飲んでました。元気かなあ。

      夜中の2時に家のまえで縄とびをしていたら何者かに声をかけられた。

 

      「HEY!軽快ダネェ!」

 

      ふりかえるとそこには、リュックを背負ってメガネをかけた老人。

 

      もちろん面識はない。

 

      はりつめる空気。

 

      一触即発の状況。

 

      私は、ヤンキーを前にしたホーリーランドの主人公の如くガタガタ震えながら縄とびをかまえる。

 

      二重とびのモーションに入ろうとしたそのとき。

 

      老人は私をみてなぜか面食らったような顔をして「なんだ……男か」とつぶやいた。

 

      ……ナンパ……ナンパだったのか。

 

      そういえば、ここ一年くらい髪を切っていないので、後ろからみると確かに女子にみえなくもない。老人は「俺は絵描きなんだ」と自己紹介し、おもむろにリュックから自作の絵を取りだして見せてくれた。激情のおもむくままにボールペンでメモ帳にかかれた人物画……ヤバイ。これはきっとサイコセラピーで書かされた絵に違いないぞ……そう感じた私はヨン様風の笑顔を返した。

 

      以来、老人によく出会うようになった。

 

      彼は多彩かつ能弁だった――絵に加えて詩も書いている(しかも英語混じり)、クラブDJとのコラボをした(コラボ!?)、アート事務所の設立計画(ほんとか!)、プロ以外の女性との性行為は禁止(素人童貞だった!)、胸につけているのは謎の秘密結社のメンバーしかもらえないペンダント(もう意味がわからない!)――この調子でいけば、『ムー』を毎月立ち読みする必要がなくなりそうな勢いだった。

そんなある日、近所に住む友人たちが「最近このへんに奇妙な老人が現れる」と、噂しはじめた。間違いなくあの老人のことだったが、友人たちは続けてこういった。
「なんか、めろんさんに似てるんだよね……その老人」
家に帰ると力なくロッキンチェアに腰掛け、西部劇で眉間を撃ち抜かれた死体のように、ゆらゆらと身体を揺らしトランス状態で瞑想を行いながら私は思った。
――神が必要だ、と。
ここでいう神とは客観性のことだ。人は根拠のない全能感や圧倒的多幸感に囚われると客観性を失い暴走してしまう。中学校時代、クラスの女子と目があっただけで「あの子……オレに惚れてる!?」とか思ってストーキングを繰り返してしまったり。そのあと警察に通報されて学校中から冷ややかな目で見られ、ロケットカウルとチンチラシートを装備した不良のZⅡで校庭を引きずり回され、血まみれになりつつも「オレはいじめられてない! これって北斗の拳みたいでカッコいい!」とか思ったり――というような客観性を無視した、都合の良いおもいこみ、それが現実との軋轢を産み出し、ひいては奇人をこの世に産み出すのだ。
この奇人発生に歯止めをかけるためには、人の心に神(客観性)を内在させる検定=神様検定をつくれば良い。狂気が社会から阻害されるものになったのは近代以降らしい。神様検定は狂気のレベルを計ることによって、社会が狂気をコントロールできる。自分でもなにを言っているのかわからない。
それはおいといて、ひとつだけ大きな問題がある。この検定をつくるにあたっては客観を客観視することが必要――つまり検定を検定する必要があり、ということはその検定された検定を検定することも必要になり……(以下無限につづく)。

(初出:STUDIOVOICE)

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脳髄幽霊、ほんまにつかれる

十年以上も前の、夏の話である。
近所の友人Aの家に遊びに行くと、部屋のゴミ箱にほぼ新品のスニーカーが捨ててあるのを発見した。
「この靴もう捨てんのん?」
Aは無言で首肯。不思議に思い、
「なんで?」
と続ければ、
「脳髄を踏んでしもた……」
とシュールな返答。
脳髄。
「ああ……まあ夏やしね」
むろん、季節など無関係であったが、この得体の知れぬ展開に呑まれると、夢野久作先生の小説のような、ドグラ・マグラした場所に迷い込んでしまいそうであったので、どうにかして語尾を風流にしてみたものの、何の効果もなし。吾々は冷房の音が流れる部屋で緘黙。
頭をひねった。
脳髄を踏めるような立場にある人間というのは、この現代社会に於いては非常に珍しく、医者かヤクザくらいのものであり、どちらも何かを極めた専門職であるが、Aは単なる建築専門学校生である。数分後、Aが、とある駅で飛び込み自殺に遭遇した話をはじめるに至って、思い出した。
Aは、酷く自殺者に遭遇する確率が高い男だった。
彼は繊細、且つ優しい男であったので、それからあとも偶然の死に遭遇することが続くにつれ、やがて少し心を病んだ。過剰に自殺者に感情移入しすぎたのだ。そのうち、友人たちの間で、ある噂が囁かれはじめた。
Aの病の原因は「霊に憑かれた」せいだというのである。
これはまずい。
自分は子供の頃よりオカルト雑誌を愛読しておるのだが、このようなものを買う人間は二種類に分けられる。ビリーバーと呼ばれる神秘主義者と、それ以外――単なる興味本位、懐疑主義者を含む、その他諸々――である。友人たちは今まさにビリーバーと化している……自分は後者であり、幽霊とは、死者と自分との交換可能性想像力の生み出す妄想であり〈憑かれる〉というのは、その可能性を自らの内に引き込んでしまうことである、と考えていた。
その場を覆うにわか神秘主義の闇を払い、Aの擁護をするつもりでそのことを友人たちに伝えると、冷たい視線と共に、
「屁理屈ばっかゆってへんと、ちゃんと考えろよ」
と、怒られた。
……納得できない。なぜだ……ここで一番合理的かつAの症状を理解しているのは自分のはず……どういうことであろう……この居心地の悪い空気は一体……。
自分は大人になってから気づいた。あの場では、理屈や、幽霊、心の病などはどうでも良く、共感能力を試されていたのである。そしてその共感の輪に混じれなかった自分は、心の冷たい男なのである。
確かに、先程の説でいくと、〈憑かれない〉人間は情が薄く、共感能力が低いということになる。無論それを否定する気はないが、自分は共感に共感する、ノイズ混じりのフィードバック奏法的な共感がそれほど大切だとは思えない。だからと云って、今、共感を売り物にした商品が蔓延していることについて批判をするつもりもない。欲望されているものが的確に受け手に伝わっているだけで、世の中の仕組みが上手く廻っているではないか、としか思わぬ。興味がない。
世の中で求められている物は、それ自体が欠如しているからこそ欲望されるに違いない。これほど共感が求められているのを見ると、共感能力の欠如した人々が、世の中の大多数ということになる。ならば、共感能力の欠如した人間を、マイノリティとして取りあげ、それが犯罪者の条件であるかのように騒ぎ立てる犯罪評論家の物言いは間違っているということになる。
逆に、そうでないなら彼らには「共感能力の欠如している人間に共感する」という能力が低いことになる……と、云うような思考の果てにたどり着くのは、面倒で疲れるからもう共感トカ必要ないのでは? という結論。
このような社会において必要なのは、共感さえも廃した絶対的な個人的経験であり、その空間では共感を軸にした排他性は根絶されるであろうから、冷静な物の見方が可能なはずである。
いや、しかし、それさえも文字に書かれた瞬間に共有され共感されてしまうのだろう、ならばもはや理解出来ぬ言葉で自分だけに書くしかない。
無茶を云っているように思われるかも知れぬが、会ったことも話したこともない幽霊の実在を信じるならば、これも信じられるはずである。
――以上は極論であると同時に己も含む、共感能力の低い人々の弁護であるが、このように開き直るのもどうかと思い、自分はバランスの良い共感能力を磨く訓練をはじめた。
共感を磨くには平均的感性を手に入れなくてはならない。つまりそれは活動的で健康的、携帯小説や浜崎あゆみで泣けるような感性ということであると考え、田舎に帰省の折、履きつぶして棄てた脳髄スニーカーと同じモデルの靴を買い、真夜中に肥料の臭いがする田圃と、巨大な沼地の周りを全力疾走しながら、鼓膜が破れるほど轟音で浜崎あゆみを脳に流し込むこと一週間、気づけば自分は星空の下で号泣していた。キラキラした音楽で宇宙と交信、共感能力の極限を体験できたのである。めでたし。
過剰分泌される脳内麻薬により発狂寸前の神秘を感じると同時に、そのとき、電撃に打たれたように、ある疑問が降ってきた。
問)Aが脳を踏んだ場所は神戸駅であったのは何故か?
そして、その答えに気づいた。

頭【コウベ】だから……。

くだらなさすぎる頓知の一撃。これは関係妄想か。それとも宇宙の意志か。電波が自分に、重大ななにごとかを伝えようとしている……そのようなことを疑わずにおられぬ今日この頃。これも共感力のなせる業。
今夏は、霊に憑かれるかも知れぬ……。

余談であるが、Aは、今ではすっかり健康を取り戻し、「氣」の研究をしている。

初出:新潮

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涼宮ハルヒのユリイカ!


ユリイカ2011年7月臨時増刊号 総特集=涼宮ハルヒのユリイカ!
The girl greatly enlivens the criticism!

本日発売のハルヒ特集にちょっとだけ寄稿していますー。
字ばっかりの本なので、ムックと間違って買わないよう、お気をつけください(笑)

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0411text公開

こどものもうそうblogにて公開中の「0311txt」に参加しています。

・0311txtとは?
毎月11日の出来事を(自分を観察する)観察日記のように書く試みです。
2011年3月11日をスタートとして1年間続けていきます。
プロジェクト概要を米光一成がskypeとfacebookで発表し、賛同者がメールで送ってくれたテキストをまとめたものです。以下引用。

■0411テキスト公開です。
0411text ePub版
0411text PDF版
テキスト版は、この下にあります(下の「続きを読む >>」をクリック)

PConline「iPadで読む今週のお勧めコンテンツ第17回」で「0311text」が紹介されています。ていねいな分析の記事です。

ここからダウンロードできます(無料です)。
0311text ePub版:iPhoneやiPad(iBooksなどのビュワーで読めます)
0311text PDF版

0311textの複製、配布、引用は自由です。
記名テキストなので改変は不可とします。
出所として以下のURLを読者が参照できるように明示してください。
こどものもうそうblog:0311text
http://blog.lv99.com/?eid=1081543

0411text
2011年4月11日:米光一成:東京豊島区:男46歳:つつましやかな近所の花見でひさしぶりにはしゃいでしまい目覚ましをかけず寝てしまって寝坊。会議をすっぽかしてしまう。謝罪の電話。夕方、仕事でもらったチケットで映画へ。到着した駅を出ると少し雨。折り畳み傘を買う。47席の小さい劇場。上映中に揺れる。けっこう揺れるが誰も立たない。両隣の人と揺れたねって小声で。劇場を出て(雨は止んでた)あれこれ雑談。「ブレードランナーの世界にはならないね」って言ったけど何きっかけで言ったかは忘れた。近所のカフェにひさしぶりに寄ってビールとトリッパ。2011年4月11日:小熊直人:東京文京区:男33歳:14時46分。Twitterのタイムライン上に「黙祷」の文字が並ぶ。「自分も黙祷しよう」と思うものの、仕事の電話がかかってきて気がつけば15時。東京や経済は日常に戻りつつあるのかも…そんな淡い期待も、17時過ぎから断続的に起こる大きな余震で吹き飛んでしまう。311の本震でヒビが入った郡山の実家は大丈夫か? 明日手術を受ける父親、オペ中に地震が起きたら? 土砂降りの雨もあってだいぶ気分が落ちてしまったが、郡山にいる友人から「結婚する」との報告を受けたことを思い出し、ちょっと持ち直す。「こんなときだからこそ家族を増やそうと決意した」という友人の話に、久々に『未来』を感じた。2011年4月11日:深川岳志:東京杉並区:男51歳:朝、キッチンを片付け、チーズトーストを食べる。スーパーでパンも牛乳もふつうに手に入る。自宅仕事。14時46分、黙祷。17時16分、大きな揺れが来た。その後も小刻みに揺れが来る。椅子にあぐらをかいたまま逃げるべきかどうか見計らう。外は雨と雷。結局、仕事を続ける。PConlineで連載している「iPadで読む今週のお薦めコンテンツ」に311textProjcetのことを書く。田中理恵子「平成幸福論ノート」、読了。晩飯。垂水の親戚が送ってくれたいかなごの釘煮を食べる。テレビで被災地のいちご農家の苦悩をみる。skypeで5月に予定されている電書関係のイベントの打ち合わせ。コンコンとノックの音。息子がPockyのストロベリー味をくれた。2011年4月11日:長崎友絵:東京板橋区・新宿区:女31歳:板橋区の自宅から新宿区の会社まで、昨日買ったばかりの自転車で走る。9.5km、40分。6時台の明治通りは車が少なく走りやすい。神田川岸の桜が満開で、一瞬みとれた。淡々と季節は巡る。昼食は自作のサンドイッチ。20代女性2人との話題は昨日の都知事選と、高円寺での反原発デモ。選挙速報開始と同時に出た当確については「あれは萎えた」というのが共通見解だった。夕方、震度4の余震。雑誌の在庫棚と窓ガラスから離れるようスタッフに声をかけた。雨のため、自転車を断念して電車で帰宅。道中、Twitterで鷺沢萠の命日であったことを知る。帰宅後、夕飯の仕度。震災以来、土鍋炊飯が習慣となった。今日も上々の炊き上がりに満足。2011年4月11日:高島知子:東京世田谷区:女33歳:外出する予定がない一日。きょうのわんこをその時間だけうとうとして見逃す。お昼のインスタント坦々麺用に肉味噌をつくる。午後PCでテレビを流しながら許諾とりなどの作業、富山大学の先生とやりとり。突然のどしゃ降り。震災を受けて立ち上がったエールアートプロジェクトのレポートを書き、昨日知り合った女の子へメール。夕飯をさぼってサイゼリヤへ、夜は冷え込む。2011年4月11日(月)朝比奈綾:静岡県静岡市葵区:女38歳:ラナンキュラスの水を替えパソコンをたち上げる。わたしのタイムラインでは昨日の石原慎太郎再選を嘆く声がめだつ。朝、ツイッタ―を確認するのとテレビをつけるのが習慣になった。CDがみあたらないのでiTunesで斉藤和義を2曲ダウンロード、そのあとしばらくしごと。外にでると桜が散っている。花びらが陽の光に反射している。いいお天気。暖かい。14時46分黙祷。夕方、マンションの地震予報機が鳴る。また独りのとき。かすかだけど長い横揺れ。部屋が揺れているのか心臓がドキドキしてるのか、とっさに判断がつかない。急いでテレビをつける。今夜の映画は中止。1カ月、パソコンで動画をよくみた。体重は2キロ増えた。2011年4月11日:松永肇一:三軒茶屋:男51歳:会社に来る途中にあるコンビニに入ると電池が復活していた。会社のエレベータは使わない。会社で脱いだ上着を自分の椅子にかけて、すぐ着られるようにしてる。お昼ごはんに遠出をせず、出勤時に買ったものを食べてる。Twitterの画面を常時ひらきっぱなしにしている。トイレに立つときもiPhoneは必ず持っている。各地の放射線量をグラフ化したサイトを見てる。地震情報のサイトで規模と回数と震源を確認してる。東京電力の電力消費量を取得するツールを作ったけど使い道がない。ここまで書いたら余震がきて、ビルがギシギシと音をたてて揺れたので帰る。塾にいった息子を奥さんが車で迎えに行くというので、ついでに駅に寄ってもらって一緒に帰宅した。2011年4月11日:小嶋智:神奈川県横浜市→東京都杉並区:男40歳:暖かい朝で、通勤中の電車ですこし汗ばんだ。春が来た。今日は会議ばかりの日だが午後2時台はあいていた。2時46分から自席でしばらく黙祷する。3月11日もここにこうやって座っていたことを思い出す。twitterのタイムラインに黙祷のツイートが流れる。「twitterで黙祷を促された」といっているひとがいる。促すものではないだろうと思う。午後3時からまた会議。2時間半ほどたった頃に、揺れ始めた。大きめの余震、19階はゆっくりと横揺れする。少し酔う。午後6時過ぎ、電車の運行状況を確認し帰途につく。横浜は晴れていたが、杉並の自宅最寄り駅では雨が強く降っていた。セブンイレブンで傘を買って帰宅した。2011年4月11日:海猫沢めろん:東京都文京区:男36歳:昼から家でラーメンを食べてバイクのメンテナンス。図書館へ行ってからスーパーで買い物。風呂。わりと大きな地震が来て風呂がゆれる。本棚が不安だがだいじょうぶだった。夕食は唐揚げ。『すばる』の編集さんに『アニマルズ・ピープル』の書評原稿修正して送る。ちなみに本書はインドの汚染事故を下敷きにした小説なのだが、「それ以前」と「それ以後」に分けてしまうような出来事についての物語、という意味ではタイムリー。でも書評ではそういった部分には触れなかった。先日、文化系トークラジオLifeを聞いていて「それでも日常を維持することの強さ」(大意)について話していたのを思い出す。どちらかというと自分も日常を維持する方向。連載原稿すすめる。このテキストを書きながら、もう一ヵ月なのかと思う。花粉のクスリを飲んで寝る。2011年4月11日:柿崎俊道:東京都新宿区:男35歳:夕方に大きな余震。仕事が手につかない。18時、とある芸能プロダクションに呼ばれ、打ち合わせへ。二子玉川駅で田園都市線が渋谷で車両事故とのことで30分、止まる。イヤになって帰ろうとするも、大井町線も溝の口駅で人が溢れかえった影響で、止まっている。八方塞がり。前日に都知事選が終わり、石原慎太郎に決まった。彼は「日本のために東京が貧乏になったっていいじゃないか」といったが、貧乏とはこういうことかもしれない。日本の高い生活レベルを維持したあらゆるインフラが劣化する。公共交通機関はいい加減になり、仕事から速さ・正確さが消える。夜は暗くなり、犯罪率が上昇する。安全な空気と水は貧乏人には手が届かなくなる。つまり、東京は世界標準の街になる。と考えたところで、田園都市線が動き出した。2011年4月11日:中村隆之:東京都国立市:男43歳:朝、国立大学通りの桜が見事にきれい。人通りも少なく、思わずカメラをもって写真をとる。カフェのテラス席は桜が舞い大変気持ちがいい。昼頃から打ち合わせ先へ。お台場にあるその施設は震災のため、閉鎖され復旧工事が続いていた。打ち合わせの最中午後2時46分、場内放送と共に黙祷。車で会社に戻る途中、車中で大きな余震。しかし意外に車の中の揺れは恐怖心が薄い。その後も体感する余震があったが、みんな意外に落ち着いている。深夜11時過ぎに自転車で帰宅、雨は小降り、風も冷たく、街は暗い。2011年4月11日:朝倉かすみ:東京都豊島区:女50歳:自宅。取材のため受けている某講座に行く予定だったのだが、持ち物をひとつ用意し忘れていたことに気づき、欠席。終日家で仕事。途中なんどか携帯の緊急地震速報が鳴り、なんどかはっきりとした余震があり、そのたびテレビをつける。仕事中にのむミルクコーヒーにいれる大好きな牛乳「那須のおいしい低脂肪乳」が入手できず残念した。なるべく早い時間に買いに行かなければ売り切れると知っていたのに。サンシャイン牧場はレベル63に到達。今回、クエストはやらなかった。2011年4月11日:小長谷久子:東京都世田谷区:女23歳:14時46分、あれから一ヶ月。何か変わったかというと、たぶん何も変わっていない。いつもと同じように、仕事をこなす。昼過ぎ頃、大きめの揺れを感じたその時、トイレの中にいた。一瞬ひやりとする。とりあえず落ち着け、と自分に言い聞かせ、ちゃんと手を洗って外に出る。皆、表に出ようとしていたので、とりあえず着いて行った。外は雨。一ヶ月経っても、現地はまだ復興どころではなく、事態の収拾はついていない。色々な情報を得て、考えた結果「今できること」ではなく、決して忘れずに長い目で見守っていこうと、この一ヶ月で決意した。2011年4月11日:安田理央:練馬区:男43歳:いつもより早めの9時半頃に事務所へ。11時、某携帯サイトT氏打ち合わせ。昼は棒棒鶏弁当。小説一本、コラム一本アップ。17時、飯田橋のAVメーカーで新人女優取材。インタビュー中に大きな地震。中野からバスで帰宅。録画してあった「ブラタモリ渋谷」見ながらマグロのカマ焼きなどで晩酌。英国サイケのオムニバス聴きながら「今日の猫村さん」5巻など読む。缶ビール、缶チューハイ、フォアローゼスをロックで2杯。12時頃就寝。2011年4月11日:下司智津惠:神奈川県川崎市:女43歳:先週から週に数回通っている仕事先に向かう。停止信号や列車間隔の調整で、たびたび停車。仕事先の最寄り駅では、液状化で出た水を吸い上げていたポンプが撤去されていた。ネットワークやプリンタの設定に時間をとられ、作業が進まないまま17時に退社。有楽町線に乗ってすぐに停車。緊急地震速報を受信したとのアナウンス後、隣の人の携帯から、聞き覚えのある緊急地震速報の音がし、まもなく揺れが来た。車内は静かなまま、数分後に、隣の駅まで運行すると動き出したが、駅についてすぐに運行再開。乗り換え駅で東横線を待っていたら、通勤快速を運転していた。帰宅にいつもより30分余計に時間がかかった。晩御飯はオムライスを作った。2011年4月11日:星野和一:東京都千代田区:男31歳:先輩編集者と二人、雑誌の新連載の監修者に会いに、夕方、神保町から巣鴨へ。今後の仕事について相談している最中にiPhoneの「ゆれくる」が鳴る。福島県浜通りで震度6弱との速報。10秒ほどで予告通り揺れ始める。既に皆「大地震だヤバい」という危機感は無い。仕事の話は中断し、「地震の時は何してました?」と雑談に。先輩は「漫画の取材で東京電力にいた」という鉄板ネタを笑いながら披露。相手は笑うわけでも引くわけでもなく興味深い顔で聞いていた。打ち合わせが終わり先方が帰ると、先輩が「地下鉄が止まってる」と言うのでタクシーで帰社。その後、ネットで赤い羽根災害ボランティア・NPO活動サポート募金を知り、ツイート。2011年4月11日:藤山京子:神奈川県町田:女26歳:取引先のスーパーにサンプルを渡しにいくため、小田急線に乗る。車内は節電で電気が消されて薄暗い。目的地につくまで隣の席の人がずっと地震の話をしている。商談ではバイヤーに「とりあえず売り場に置けるものなら何でもいいから持ってきて!」と頼まれる。先月までとの違いに改めて非常事態を実感する。相手先を出た直後、また地震。だいぶ大きい。震源地は福島という地震速報が入る。もしかしたら日本は滅亡するのではないだろうか、と思う。2011年4月11日:渡邊宏美:東京都港区:女性33歳:地震で目が覚めた。会社に届いたAERAの見出しは『東電「解体計画」』だった。震災を機に週刊誌の見出しが気になる。石原都知事が4選を決めた。節電対策の具体例として自動販売機の停止を挙げていたことが耳に残り、災害時用の自販機が気になる。ツイッターでは14時46分ぐらいから「黙祷」の文字が並ぶ。16時30分、空は暗く雨が降っている。一ヶ月前の今日雨が降っていたら徒歩で帰宅した人はどれくらいいただろう。17時16分頃再び大きな揺れを感じる。ツイッターには「ゆれる」「ながい」「でかっ」こんな文字が続いた。ヒールの靴しかない。傘もない。家に戻りペットボトルにためていた水道水の入れ替えをした。2011年4月11日:浦高晃:千葉県船橋市:男34歳:午前5時前悪夢の目覚め。不安、主に金銭的な意味で、親に無心したお金でカード会社の催促に応える…。出身校に頼んでいた成績証明書その他の送付願、三通目から送料が90円になるのであと10円送れと木で鼻をくくったようなメール、お前が電話口で80円って言ったんだよ! 取り急ぎ二通だけ送れという。児童のクラスで更衣室でケンカ、両成敗。殴った方があとを引きずってベソベソ。おとなになれ! レッスン中に余震、5分ほど様子を見た後レッスン再開。あとは以上なし、バスで帰る。イカ娘とおお振りの新刊を買ってしまう。おとなになれ! ポケモンのプレイ時間がカンスト。お(略)2011年4月11日:加藤敦太:愛知県愛知郡:男23歳:頼んでいた『小鳩豆楽』が届く。思っていたより甘みが薄く、きな粉の味が強い。『二人静』よりも大きくて、『二人静』よりも硬い。鎌倉の位置が分からなくなる。トイレに貼ってある地図を見ると、神奈川県にあった。何故か、きょうと・なら・かまくら、で憶えていたので驚く。午後は近所のスーパーへ買出しに。プライベートブランドの水500ml35円はあるのに、有名メーカーの水だけ品切れ。アルミボトルの炭酸水は手付かず。夜。バラエティ番組を観ていると、盛り上がりの瞬間にテロップで地震の速報が入った。先月取引した石巻の方からの返信はまだ来ない。2011年4月11日:近藤英明:埼玉県さいたま市:男45歳:今日も大き目の地震があった。自宅付近の天候は夜にかけて雨と風。昨日、近所の桜並木では、丁度桜が見ごろだったが、この風でだいぶ散るのでは。だが、風というと放射能放出の方向に注意が行く自分がいる。SPEEDIによる放射能の影響図は、アメリカでは発表されているというが、ネットでうまくたどりつけず。近くのスーパーではティシュやトイレットペーパーはぎっしりと補充されるようになった。しかし、まだ飲料水の棚は空が目立つ。なぜかカフェイン類の大型ペットボトルは売れ残りが多いようだ。スーパー内の電源も節約で暗い。日経平均は震災当日は10254円。今日は9719円だった。2011年4月11日:高須正和:東京豊島区:男36歳:自宅(豊島区)余震で目覚める しばらくニュースを確認後、取引先の会議へ向かう。(自転車で移動)午後に会社(東京都文京区)に出社。余震の影響はなく、通常通り業務をこなしていた。22時頃まで勤務して帰宅。帰り路でスーパーに寄るが、納豆などのいくつかの製品がいまだに入荷が乏しく、フルーツグラノーラなどは生産を中止しているようだった。2011年4月11日:千野帽子:京都市中京区:男46歳:洗濯物干して朝食準備。細君が猫を洗ってくれたので乾かすのを手伝う。マンション理事会出席後、明治屋に。高瀬川の桜が綺麗。ヨガスタジオで「アシタンガ」、他人の体の柔軟さに驚くが、私の体が固いだけだ。帰宅後、明日の弁当用に手羽元と白葱のオイスターソース煮、牛蒡と人参の塩金平を作る。玉子を茹でつつNHK出版にメール返信書いてたら、東日本で地震の報。Twitterやってない知人を心配したが、メールが来て一安心。ボロニェーゼと茹でグリーンアスパラで夕食。日経ビジネスアソシエのゲラPDFの今日マチ子さんの挿画に見とれる。校正は他にユリイカ角田光代さんインタヴュー、ミステリマガジン連載。サルトル『分別ざかり』読了。2011年4月11日katsumaki:東京都港区:女25歳:自宅。朝は7時過ぎの地震の揺れで目が覚めた。震災以来、今まで考えなかったことを考えるようになった。今日も原発、選挙、無関心、デモ、物事の主張の仕方について考えた。そうしているうちに大きな地震がきた。さらに小さな余震も。すっかり油断していたので驚いた。久々に地震酔いが復活して気持ち悪くなった。でも我が家の猫たちは確実に地震に慣れているようで、少々大きな揺れや連続した余震にもほとんど動じなくなった。18時すぎに外に出ると、今日も看板の照明が消えた暗い街。いつの間にか暗い都会の夜の風景にも慣れたみたいだ。2011年4月11日:東京都文京区:山田新:男41歳:会社:新聞で前日の高円寺の反原発デモのニュースを探すが見当たらない。ネットではかなり話題になっていたが、何故だろう?たしかに主張が見えにくく、ただ騒ぐだけのようなデモだったが。。会社へ。取引先との打ち合わせ中に大きな地震。すっかり余震に慣れてしまっている自分がいる。しかし、取引先の方、ご主人が警察官でいま福島にいるとのこと。いまこのときにも危機に直面している人もいるのだと改めて思う。帰宅後、音でも出してストレスを発散しなければフリークアウトしそう、ということで、友人とスタジオ入り。地震や原発のことで煮詰まった頭を少しすっきりさせる。2011年4月11日:木村裕之:東京都中央区銀座:男30歳:オフィスの5F。縦の揺れが始まった。今度の余震も大きく長い。女の子が騒ぎ始めた。自分も古いオフィスビルの5Fにいることでいつもより不安を感じた。しかし大きな地震にはこの一ヶ月慣れてしまったのであまり何も考えずに過ぎ去るのを待った。揺れが収まり、ヤフーの地震速報を見た。マグニチュード7.1、震度6弱。震源は福島県浜通り。福島第一原発がとても気になった。周囲にテレビはない。最近は携帯の地震速報からも連絡はない。外を見ると暗く雨が降っていた。2011年4月11日:唐木厚:東京都文京区:男46歳:震災から一ヶ月、はじめて新聞のトップが震災以外の記事になった。統一地方選。でも、平常時になってきたとはとても思えない。午前中は、会社で会議。夕方から、文学賞の授賞式に行く。選考委員のスピーチ中に突然、大きな揺れ。今回の余震は大きく、一分以上揺れが続いていたように感じた。深夜帰宅。コンビニに夜食を買いに行く。一時はすかすかだったコンビニの棚も、やっと充実してきた。でも、まだ2リットルサイズの水のペットボトルは見かけない。2011年4月11:佐藤福子:静岡県沼津市:女33歳:静岡県県議会選挙、沼津市の投票率の低さに愕然とする。予想通りの候補者が当選したからか、喫茶店のお客さんの話題は石原再選のほうが多い。さすがに常連さんたちの年齢層が高いだけあって、よかったわ、安心したわ、とか言っている。驚きと落胆を隠せない。その後はやはり震災から一ヶ月、早かったのか長かったのかわからないという話に。原発の話になると、廃炉にしなくちゃだめよ!と、さっき石原さんが再選してよかったわと言っていた人まで息巻いていた。夕方、揺れ。
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