月別アーカイブ: 2013年4月

読者工学論三回

物語は「型」をつかって作れるかも知れない……
だが、「面白さ」はどこからやってくるのか?

その謎は「読者」を考えなければ解けない。

早くも第三回となった「読者工学論 物語を書く前に考える6つのこと」。

今回のゲストは歌人の穂村弘さんです。

ゲスト・穂村弘(ほむら・ひろし)

1962年5月21日札幌生。上智大学文学部英文学科卒。
著書に歌集『シンジケート』『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』『ラインマーカーズ』、短歌入門書『短歌という爆弾』、エッセイ『世界音痴』、詩集『求愛瞳孔反射』、ショートストーリー集『車掌』など。
「ほむらひろし」名義での、絵本の翻訳も多数。
以前『愛についての感じ』発売のときに朝日カルチャーセンターで、一緒にチャリティー講座をやらせていただいた時以来です。
前回、脳、つまりハードウェア方面から読者や面白いということについて考えを深めたのですが、今回はソフトウェアのほうから考えたいと思います。
そもそもなんで連歌という謎のキーワードが出てきたのかというと、新城さんが昔メールゲーム(簡単に言うとハガキを使ったごっこ遊び)のゲームマスターをやっていたときに「はっ!これは連歌じゃないか!」と思ったそうなんですね。
連歌ってしりとりとかサイファみたいなもんで、集団言語遊戯なので、確かにメールゲームは近い。
短歌の世界は読者と作者が近い……というかほぼイコールで結ばれそうなジャンルなのですが、今回はそのあたりの違い。小説と短歌の面白さの比較。新城さんの言う小説エチュードとしてのツイッターと、短歌。それぞれが「面白い」と思う短歌を持ち寄り分析したり……などなど……確実に長丁場が予想されますが(前回、放課後が2時間超……)、みんなゲンロンカフェでメシ食いつつ、お話ししましょう。

ところで、、ベテランでも売れっ子でもない三文文士の自分が、小説技術や創作術について語ろうとした理由ってなんなんだろう? こないだからそう思っていろいろ考えていたんですが、なんとなくわかってきました。
まず言っておきたいのは「楽するため」ではない。

そうなのです。

創作術や型について考えるのは、決して「楽をするため」ではない。
執筆を簡単にしようというわけでもない。
物事はは難しければ難しいほど面白いのであるからして、そんなことをしてしまえば本末転倒なのである。

ではなんのためか?

それは、「熱を失わないため」だ。

小説を書きたい! と思ったとき、最初はみんなすごい情熱とか情念とか怨みがある。
けれど、実際に書いていくうちにそれが容易ではないことに気づき、だんだんとその熱が消えていく。
やがて熱の欠如を技術で補おうとし、それでもうまくいかずに延々と迷路を徘徊しはじめる。

ぼくはそういう迷路のなかで、疲弊してしまう人たちをいっぱい見た。自分だってそうだ。
挫折と割り切って次に進める人や、別のステージへ行けるやつはいい、でも思い詰めて絶望して命を絶つやつもいる。

ムダな努力が力になるというのは本当なんだけど、それによって失われてる情熱や純粋な魂がいかに多いことか。

ぼくが求めているのは「熱を活かすための技術」であって、単に「効率よく楽をするためだけ」のものではない。そういう奴は生まれ変わって工場のベルトコンベアとかJavaScriptになってりゃいいんだよ!人間ってのはそういうもんじゃねえだろ!

まずは、無駄なことを省くのである。

無駄なことを省いたあとは集中するのだ。険しい道であることは変わりない。
だからまずは頭を整理して、それに集中できる環境を整えようということだ。
無駄なことを考えなくていいよう。集中できるように整備する。地ならしをすること。それであとは書けばいいというようなところまでいけば、これはしめたものだ。
あとはひたすら難しい道がつづくだろう。ただしその苦しみは非常に充実したものだ。それは情熱を注ぐに値する。
そのことに早く気づければ熱は失われない。

ぼくの根底の部分に、拭いがたくあるのは「クソだろうがダメだろうが理屈が通ってなかろうが、不器用でいろいろなことをうまくやれない奴が、最後の最後にやれるのが小説というものであってほしいし、そういう奴のための小説だろうがよ!小説作法なんて知るか!」 という思いだ。こうした自分でも良く分からない逆ギレ的な熱を失わないように、いつも小説技術について考えている(いつもムカついて逆のことをしたくなる)。

「楽をするため」じゃなくて「熱を失わないため」。

そういうのがいい。

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めろん選書(其の壱)のお知らせ

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行きつけの書店、なるものがみなさんあると思います。
長いこと同じ場所で暮らしていると、だんだんと遠くにいくのが面倒になってきて、近所の本屋とかお店に通うようになり、やがて顔なじみになったりするわけです。

まあそんなかんじでぼくのいきつけの書店というのは千駄木の往来堂さんです。

往来堂書店

ちょうど脳フューチャーが文庫になったことだし、フェアでもやろう! ということで、往来堂さんの棚をお借りしてフェアをやっております。第一弾は「小説家が読んでいる、小説を書くための本」というものです。ぼくのような三文文士ならではの特集と言えましょう(苦しんでるんだよ……!)。

千駄木往来堂にて配布中のフェアチラシ

第一回の読者工学論で紹介した本がほとんど置いてあります。上記のようなかきおろしエッセイA4チラシもおいてあって、お得ですよ!そして全滅脳のサイン本も何冊かあると思いますのでよろしく、こないだ行ったら二位でした!人は井の中の蛙になることも時には重要なのです。やる気が出てきます。

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で、なんと往来堂さんともう一軒、このフェアをやってくださっている場所があります。白山にオープンする新しい書店、双子のライオン堂さんです。

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ライオン堂さんは文化系トークラジオLifeのバナースポンサーでもあります。白山店のオープンは4月27日(土)11時〜21時ころまで。 また、前日の26日(金)19時〜21時ごろはプレオープンとして営業。(通常営業は、火•金19〜21、土11〜21 )。Lifeクラスタは急げ!

他にも協力していただける書店さんなど、ご連絡いただければぼくが直接うかがいますんで、よろしくお願いします!

あと、往来堂、来週29日にはマムちゃんがやってくるよ!ババア殺し!

フェア第二弾もすでに準備してるので、そのときにはまたお知らせします。

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クイック・ジャパン107

クイック・ジャパン 107

きゃりーぱみゅぱみゅが表紙のクイック・ジャパン 107 にて、今回はあのエキセントリックかつエレガントな声優、上坂すみれさんにインタビューさせていただいた記事を書いてます。
自伝的ストーリー「思春期と装甲」が掲載された「spoon.」や、この号の「声優グランプリ」は必読です。

ふんわりした中にも芯のある雰囲気の方で、あまりに目立つ服に、撮影のときに電話ボックスのまわりにちょっとひとだかりができました(笑)
ジャケの自筆イラストがすんごいいいんですよ。味があるんだよなあ。キッチュでなんかナゴムレコードを思い出す……。

そしてもうひとつは、こないだニコ動で行った石鹸屋さんとの公開インタビューの記事です。
アルバム発売後、ツアーもはじまってます!

青い雲(初回プレス分[全国ツアーチケットWEB特別先行抽選予約シリアルナンバー]封入) アウェイク(初回プレス分 渋谷公会堂ライブチケット優先予約シリアルナンバー封入) プリミティブ・コミュニケーション

こちらもぜひ。

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読者工学論第二回終了

言語脳科学者の酒井先生をゲストに迎えた第二回の読者工学論。
ご来場のみなさん……本当にお疲れ様でした。
最終的に四時間半という長丁場におつきあいありがとうございました……大変面白くてためになったので、特に疲れは感じませんでしたが、みなさんはいかがでしょう?
よく考えてみたらLifeは夜中から朝まで五時間くらいやってるわけで、それに比べたら当然余裕。鍛えられた長丁場力が役立ちました。

さて、今回、読者の脳を探る冒険が終り、ぼくらは「面白さ」についてかなりの知識を手に入れたわけですが、やはり「面白さ」は人間独自のものでなかなか定式化しづらいようです。
じゃあ、その「面白さ」を決めるところまで含めて作品になっているジャンルはないものか?
ありました!
短歌です。短歌というのはウタカイで歌を作ったあとに、みんなで選句して講評するというところまでを含んでいます。つまり、作者と読者がセットになっていて、ひとつの場でそれを一度にやるのが短歌なのではないか?
ということで、次回ゲストは誰か……前回、日本最高学府の方に来て頂いたので、今回も日本最高の歌人をお招きせねばなるまい……ということで、ゲストは穂村弘さんをお迎えします! チケットの発売は追ってお知らせします。
次回も濃いめで行きたいと思いますのでよろしくお願いします。

twitterのハッシュタグ#dokukouのほうに寄せられた質問などにもあとからレスしていきますんでお待ちを!

あ、そういえば明晰夢の話で出たアイソレーションタンクの研究はこの本に掲載されております。

錯覚する脳: 「おいしい」も「痛い」も幻想だった (ちくま文庫)

アイソレーションタンクについての研究は、今はあまり聞かないんですが、ぜひもっと進めて欲しいですね。リチャード・ファインマンさんもおもいっきしハマってますからね……。『ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉』の、「変えられた精神状態」という項目でなかなか面白い体験が読めます。

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈下〉 (岩波現代文庫)

もっとディープに知りたい人は、この映像をご覧下さい。
岡山のHIKARICLINICにて、ぼくが実際にアイソレーションタンクに入りつつ、精神科医の先生とお話しをさせていただいている動画。この模様は過去にDOMMUNEで放送されたのでご覧になった方もおられるはず。

[youtube]http://youtu.be/Zi3i48rNgAg[/youtube]

いやー脳への興味は尽きませんな……(もはや脳でもないし怪しすぎるよ!)。

スタッフのみなさま、ゲストの酒井先生、新城さん、そしてご来場のみなさま、ありがとうございました~。来月またお会いしましょう。

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